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オムツン

第31章 三十一枚目

私はキョウコちゃんのバーで、カウンターに座って一人で飲んでいた。

先ほどまで、ハマちゃんがいて、お礼を言って一緒に飲んでいたのだが、同伴してきた女の子と「オムツン」に行ってしまった。

週の中日で、遅い時間に客足はのびない。

久しぶりに静かに酒を飲んだ。

「オムツン」は軌道にのっているし、私の仕事は女の子の愚痴を聞いてやること位だ。

会社の方も、コウスケさんが主になってまとめているし、吸収合併が公となってからは、人手は私の他にいくらでもいる。


会社も店も、全部上手くいった。

…家庭以外。



私は忙しくなかった。

この、ゆっくりした時間。

誰にも邪魔されない…ゆったりした…

だからだろうか?

さっきから、こんなに眠いのは…。

マスターの入れてくれた水割りを飲みながら、抗えない睡魔に襲われていた。

まぶたが下がってくる…

眠たい…なんだ…これ…

ああ…何か忘れている気がする…

何かひっかかって…

シンザングループ…

このバーに来る前…

このビルの名前…

カミヤマビル…

会長の名前…

神山…

あ、そう言えば、妻はどうしているだろうか…

…もう、だめだ……………もう、どうでもいいか…眠たい…………

そのまま、私は意識を失った。



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