キョウダイ
第16章 流されてゆく思い
切なそうな柊斗の顔。
どうして?
そんな顔をしてるの?
……泣かないで?
柊ちゃん……。
海斗side
気になって落ち着かない思いで、よせばいいのに、柊斗を追いかけるように、葵の部屋の前に行き立ち尽くす。
部屋の中から聞こえた会話。
葵の喘ぎ声。
バカだな俺は。
足が凍りついたように動かない。
だけど、やっぱりキョウダイなんだな。
柊斗、お前も同じなのか。
俺達皆が葵を求めている。
本当は自分だけを好きになって欲しい。
ずっと傍にいたから、求めてしまって、限界だった。
せめて体だけでも繋がっていたい。
不安だから。
そんなの虚しいだけなのに。
求めずにはいられない。
どうしてこうなった?
俺は何を間違った?
俺が全部悪いのか?
大事な妹として、誰にも触れさせないないように、あのまま続けるのが良かったのか。
そんなのは無理だ。
きっと遅かれ早かれ、俺が同じ事をしただろう思えた。
葵は一人しかいないのに。
俺達キョウダイが奪い合う。
どんどん開花され、淫らな女になって行く。
兄としてそれでいいのか?
今更だな。
全て俺が望んだ事だ。
俺なしではいられない体になればいい。
そう思った筈だ。
責任取って嫁に貰う。
それでいい。
誰にも渡したくない。
今は葵の気持ちが分からない。
それでも、俺に惚れさせる。
最後に勝つのは俺だ。
イライラしながら、自分の部屋に戻った。