キョウダイ
第21章 残りの人生
だから、やっぱりこれは夢。
あたしが明に会いたいって思っていたから。
会って、抱きしめて、キスをしたいって。
思っていたから。
都合のいい、夢を見る。
優しく抱きしめられて、キスをされる。
唇の感触が、妙にリアルで、生々しくて……、夢なのに、嬉しくて泣いてしまう。
……………神様、どうか。
明を遠くに連れて行かないで。
もう充分苦しんだから、もう悪い事も出来ないから。
あたしはどうなってもいいから。
明をもう、苦しめないで下さい。
彼に降りかかる災厄をあたしに向けても、構わないから。
明を死なせないで下さい…………。