箱……録
第1章 出会う二人
「―――…失踪って……」
後藤は、チャーシューを麺と一緒にくちに放り込む…
「ま〜…当時は、結構な騒ぎになりましけど…
今思えば…若くして私を産んで…女盛りを子育てで終わらせたく無かったのかな?って思うんですよね〜」
あっけらかんといい放つ後藤は、ラーメンのスープを蓮華で掬う…
「先輩!早く食べないと麺伸びちゃいますよ?相変わらず卵は、最後なんですね〜!!」
私は、慌てて残りの麺をくちに運ぶ!
そして、どんぶりの中の最後の卵を箸に取る――――…
「…煮卵…
あれ?私、好きなの最後に食べるって言った?」
「さっきの飲み会で言ってましたよ?
やだ〜、先輩飲み過ぎじゃぁないですか?」
私は、煮卵を口に入れ
自分の話した内容を覚えていない事に…ため息をつく…
ま―――…そんな事もあるかと…
咀嚼した煮卵を喉に流し込む―――――…
そこで…フワッと…鼻に抜けるラーメンの香りが…
ひどく懐かしく感じた―――…