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Sinful thread

第2章 喪心




結局、重い気持ちを引きずったまま、大学へ向かう。


比較的人気のあるこの授業は、すでに席は大体が埋まっていて、空いている席を見つけてそこに座った。


この授業は七海たちとは被っていない。
あたし一人だ。


「あれ、希美じゃん!」


突然斜め後ろから聞き覚えのある声がした。


「奏多……」


「席空いてないから隣座っていい?」


別の授業のグループワークで仲良くなった奏多だ。

顔もそこそこ整っているものの、ちょっとチャラチャラした外見があたしは少し苦手だ。

……決して悪い人ではない。
むしろいい人なんだろうとは思ってるけど。


「あれ、なんか希美顔が疲れてるぞ」


あたしの隣に来るなり、奏多がそう言ってあたしの顔を覗き込んだ。


……ばれちゃった、ダメだなあたし。

誰にも相談できないなら、せめて気付かれないようにしなきゃいけないのに。


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