
Sinful thread
第2章 喪心
「「乾杯〜っ」」
カランッ───
グラスのぶつかる音と、氷の音が鳴り響く。
授業の終わった後。
奏多に連れられて来た居酒屋。
大学の近くだからみんな集まるんだろうけれど、見渡した感じでは見知った顔はない。
「テンション高いね」
ハイテンションで乾杯したかと思うと、奏多は生ビールを一気に半分近く飲み干してしまった。
あたしも連られてカクテルに口を付けた。
「希美も奢りなんだから遠慮すんなよ」
「ありがとう」
そう言って笑顔を浮かべた。
───それから奏多は、あたしの話をちゃんと聞いてくれた。
酔ってきたからなのか思いの外、あたしの口からはすらすらと現状が吐露される。
お母さんが再婚したところから、昨日のことまで、あたしは全部奏多に話した。
血が繋がってないとしても、兄を好きになってしまったあたしを、引いたりしないだろうか……。
半分は楽になりたいというエゴで奏多に話したものの、内心不安で一杯だった。
