
Sinful thread
第2章 喪心
話し終わった瞬間、自然と涙が頬を伝った。
「……ごめん。ありがと、聞いてくれて」
奏多がどう思ったのかはわからない。
辛いのは相変わらずだけど、それでも少し楽になった。
「希美、最初言うの渋ってたけど、誰にも言わずに一人で抱え込むつもりだったわけ?」
その言葉に顔を上げて奏多の方を見ると、奏多は優しく微笑んでいた。
「……だって、引かれるんじゃないかって……怖くて」
「別に引かねぇよ。急に理想にぴったりの男が現れて、何度も会ってたら好きになるのはほぼ必然だろ?」
心なしか、いつもより奏多が優しい。
その優しさが、あたしの涙腺を更に緩ませていく。
欲しかった言葉を貰えた気がした。
……ずっと、辛かったの。
本当、あたしはどれだけ泣けば気が済むの……。
「……希美、そんな状態で大丈夫か?ちゃんと家帰って葵さんに会えるか?」
……そっか。
帰ったらまた、葵に会わなきゃいけないのか。
昨日まで葵に会うために早く帰りたくて仕方なかったのに。
……今は、葵に会うのが辛い。
