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Sinful thread

第2章 喪心



その後、奏多に促されてシャワーを借りた。

奏多は少し大きいスウェットを貸してくれて、それを着てリビングへ戻る。

奏多が入れ替わりでバスルームへ行くと、あたしは元いた場所へ腰を下ろした。


……葵からの返信が気にならないわけではない。

声だって聞きたいし、顔も見たい。
会いたくないとは思いながら、ほんとは会いたくて仕方がない完全に矛盾した感情。

……でも、今葵に会うとまた泣いてしまいそう。
葵に涙を見せるわけにはいかない。


明日までに、ちゃんと切り替えないと……。


それから20分ほどで、奏多がバスルームから出てきた。


「そろそろ寝るか」


奏多のその言葉に、あたしは頷いた。


「布団とかないから、ベッド一緒でいいか?」


ベッドの掛け布団を捲りながら、奏多がそう尋ねる。


「襲わないよね……?」


疑ってるわけではないけど、冗談ぽく聞いてみる。





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