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Sinful thread

第2章 喪心



恥ずかしさに、右腕で顔を隠す。
その遮られた視界の中に、葵の顔が浮かんだ。


……なんで。
……どうして?


目の前にいるのは、あたしに触れているのは、確かに奏多なのに……。


……胸がぎゅっと締め付けられる。


奏多の手が、服の下から入ってくるのを感じる。


「奏多……待って……」


侵入してきた手が、胸に直接触れそうになった瞬間。
あたしのか細い声が、部屋に響いた。


「……ごめん。やっぱり、あたし……」


……葵の顔が、頭から離れない。
まるであたしがやろうとしてることを静止してるみたいに。


「……葵さんじゃなきゃダメなんだろ?」


あたしからゆっくりと離れると、 奏多は落ち着いた声でそう言った。


「これでわかっただろ」


奏多の手が、心地よい優しい手つきで、再びあたしの髪を撫でる。



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