
Sinful thread
第3章 愛欲
まだ何もされてないのに、これから起こることの期待と相まって、胸がドキドキして仕方ない。
「……希美。一つだけ、約束して」
「……なに?」
そんなあたしとは裏腹に、葵は静かに言葉を落とす。
「今日のことは、明日になったら全部忘れろ」
ドクン……
心臓がそう音を立てた。
……わかってる。
そうしなきゃいけない。
簡単には受け入れられない自分に、必死に言い聞かせた。
「……わかった」
そう言うしかなかった。
でも今は、早く葵に触れられたい。
その気持ちが先行する。
我慢出来なくて、思わず葵の顔に手を伸ばす。
葵がフッと微笑んで唇を緩ませたかと思うと、その唇がゆっくりと近付き、あたしの唇と重なった。
……あぁ
あたし、ちゃんと……
葵とキスしてる。
それだけで嬉し過ぎて、身体がフワフワとした感覚になる。
……これ以上ドキドキしたら、壊れてしまいそう。
唇を割り入って来た葵の舌を絡め取り、徐々に激しくなるキスに応えようと、両腕を葵の首に回した。
