テキストサイズ

Sinful thread

第3章 愛欲



「なんで来たの?」


……え?

葵の静かな問いかけに、一瞬返答に迷う。

薄暗くて表情が見えない。
葵は今、どんな顔してるんだろう。

怒ってる?驚いてる?
……それとも、迷惑だった……?


「……ちゃんと、考えたの……」


「じゃあ、それがお前の答えなんだな」


顔が見えなくとも葵の真剣さが伝わってくるその言葉に、小さく「うん」と頷く。


……ほんとは、考える必要もなかったよ。
考えても答えが変わらないことくらい、最初からわかってたの。


「……そっか」


手首を掴んだ手の位置をずらして、葵はあたしの手のひらを握った。


「後悔しない?」


「しないよ……」


後悔なんて絶対にしない。
……するわけない。


「……おいで」


あたしの手を引いて、葵はあたしをベッドに寝かせた。


さっきとは全く違う胸の高鳴りを感じる。


こんな角度から葵の顔を見るのは初めてだ。
月明りに照らされているせいか、あたしの目にはいつもより数段綺麗に映る。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ