
Sinful thread
第4章 追想
『葵くんの部屋に、希美を一緒に住ませてやってくれない?』
それは、ホテルで会食をしてから3ヶ月後のこと。
俺のマンションに、俺の親父と希美の母親が来て、突然そう告げられた。
『もちろん、いきなりじゃない。俺たちが籍を入れてからの話だ』
再婚したら、一人暮らしの俺を除いて、親父を含めて3人で一緒に暮らすことになる。
……希美にとっては知らないおじさんを含めて3人で暮らすよりは俺と住んだ方がいいと思ったんだろうか。
それともただ新婚のうちは2人きりでイチャイチャしたいだけなのか。
『……別に、希美さえいいなら、俺はいいけど』
あれから2回ほどお互いの親を交えて希美に会い、希美への恋心は確信に変わっている。
ダメなことなのはわかっていながら、それでも思わぬチャンスだと思っている自分もいた。
……親父たちに2ヶ月後に籍を入れることに決めたと聞かされたのは、その数日後だった。
