刑事とBG
第1章 刑事とBG~前編~
―――
パーティーの招待客は100人。
祐司は左耳につけているインカムをONにした。
「招待客の受付終了しました」
《了解。そのまま屋敷内の警備を頼む》
イヤホンから圭吾の声が聞こえた。
祐司は辺りを確認しながら、不審な動きをした者がいないか歩く。
ふとある男女が目に入った。
(…さっきの…)
斉藤とゆうひだった。
ただ者じゃない気がする、祐司は斉藤の姿を凝視した。
《え~皆様、本日は原黒団蔵(はらぐろだんぞう)様の誕生パーティーにお越しいただきありがとうございます》
司会者がマイクで話し始めたと同時に、豪華な料理が運ばれてきた。招待客の手元には、シャンパンの入ったグラスが渡される。
すると白いヒゲを生やした老人、原黒団蔵が登場した。
《皆さん、今日はワシのために集まってくれて感謝する。おおいに楽しんでってくれ》
《では皆さん、乾杯~》
カチン、カチンと招待客のグラスが合わさる音が響いた。招待客は豪華な料理や、デザートブュッフェを堪能する。
それを見届ける祐司の前に、メイドがニコニコしながらワイングラスを差し出した。
「いや、俺はいいです」
祐司が断ると、メイドは寂しそうに去って行った。
「今のところ問題ないみたいだな」
背後から圭吾が現れる。
「あ~俺も御馳走食いてぇな~」
護もキョロキョロしながら歩いてくる。
「こうも人が多いと、3人じゃ警備しきれないですね」
祐司は目線だけを動かし、口を開いた。
「…にしても、霊関係じゃないのは珍しいよな」
護が言った。
祐司たちはただのボディーガードではない、霊が見えるのだ。
霊から守ってほしいという依頼は、意外と多い。
一般の警備会社なら断られるが、祐司たちの会社では乙姫要社長を筆頭に、霊から依頼人を守っているのだ。
「よし、続けて警備するぞ。各階の部屋やトイレも確認しよう」
圭吾が指示を出し、3人は再び警備を再開した。