テキストサイズ

イケメン戦国【猿飛佐助】きみにごほうびを

第1章 きみにごほうびを

私は、望まずも彼と別れ、現代へとまたタイムスリップしてきてしまっていた。

佐助くんの計算では、またワームホールが現れるとのことだが、それはまだ先だ。


ふいに私の携帯電話が着信を告げる。

ディスプレイを見ると、忙しくワームホールの研究を続けている佐助くんからだ。

「何かあったのかな?」


不安と緊張に包まれながら、携帯電話を手に取る。


「もしもし?佐助くん?」

『涼莉さん。明日って時間あるかな?』

「う、うん。何かあったの?」

『ちょっと君に用事があって。』


家に迎えにくるという佐助くんに、家の場所を伝え、落ち着かない気持ちで電話を切る。



もしも、二度とワームホールが現れなかったら…。
私は二度と、彼には会えないーーー。


そんな不安が込み上げるけれど。

「いけない、いけない!しっかりしなきゃ!」

必ずまた彼に会えるーーーっ!

そう自分に言い聞かせ、私は布団へと潜り込んだ。


▶▶▶


翌朝、お化粧をすませ、ワンピースに身を包むと、玄関のチャイムが鳴る。

佐助くんだ。



既に見慣れた忍者姿ではなく、現代の服に身を包んだ佐助くんが、顔をのぞかせた。

「佐助くんが天井からじゃなくて、玄関から登場なんて珍しいね。」

「天井からも入れるけど、ここは現代だから。」

真顔で言う佐助くんがおかしくて、思わず噴き出す。



「良かった、君が元気そうで。」

「うん、何とか…。」

「次にワームホールが出現し、タイムスリップしたら、俺たちは二度と現代には戻れない…。君は本当に後悔しない?」

「うん……私は、彼と生きたい。だから後悔なんてしない。」



家族にも、友人にも、全てにさよならした。
彼と生きるためにーーー。


その強い意思を表した瞳で、佐助くんを見つめる。

しばらくの間、黙って私を見ていた佐助くんが、ふいに口火を切る。

「気持ちは変わらないみたいだね…それならば、今のこの時代『現代ライフ』を今日は思いきり楽しもう。」


こうして私と佐助くんは、現代ライフを楽しむため、いわゆる『現代デート』をすることになった。


▶▶▶

ストーリーメニュー

TOPTOPへ