旅は続くよ
第12章 無理
N「このままじゃ…ダメかな……」
S「このままって、お前…。
仕事しなきゃ食ってけないし…」
N「実は食ってけんだ、俺」
ニノが自嘲気味に薄く笑った
N「…こんな事言ったら『出てけ』って言われるかもしんないけど
母さんの保険金と実家売った金、
まだ当分食ってける分くらいは…
だから、別に今のままポチポチやってればさ。
暇つぶし程度だけど…」
驚いて言葉が出なかった
確か最初に聞いた事情では
前に住んでたアパートが建て替える事になって
次のアパートは家賃が高かったって話
定期的な仕事先が無くなってしまって
頼る親戚も実家も無いと言っていた筈
そりゃ『無一文で困ってます』とは言ってなかったけどさ
ニュアンス的に経済的に困ってるんだと思ってた
…なんだ、そうだったのか
N「…ごめん、なんか嘘ついたみたいになってて…」
S「…嘘だったのか?」
N「嘘じゃないよ。
アパート建て替えになったのも、
仕事先が無くなったのも…嘘じゃない
そのまま引っ越せば良かったんだけど、
なんか精神的に追い詰められてて
1人になりたくなくて…だから…」
S「…そっか」
N「…怒ってる?」
S「怒んないよ、全然」
怒りなんか湧いてこない
むしろ、その状況でウチに来たなんて…
偶然って凄いな、と思うよ
たまたま雅紀達をウチに住まわせて
ちょうどその時ニノが困ってて
巡り廻って、俺がニノと出逢えた偶然
運命とか、奇跡とか
そんな乙女チックな事を言うつもりはないけど
この偶然の出逢いで、俺はコイツを好きになったんだ
男なのに…
そんなつもり無かったのに…
この偶然が嬉しいんだ
だからこそ大切にしたいと思った
今、こうしてニノの心に触れて
弱っているのなら
脆くなっているのなら
俺が力になりたい
強くそう思った
S「このままって、お前…。
仕事しなきゃ食ってけないし…」
N「実は食ってけんだ、俺」
ニノが自嘲気味に薄く笑った
N「…こんな事言ったら『出てけ』って言われるかもしんないけど
母さんの保険金と実家売った金、
まだ当分食ってける分くらいは…
だから、別に今のままポチポチやってればさ。
暇つぶし程度だけど…」
驚いて言葉が出なかった
確か最初に聞いた事情では
前に住んでたアパートが建て替える事になって
次のアパートは家賃が高かったって話
定期的な仕事先が無くなってしまって
頼る親戚も実家も無いと言っていた筈
そりゃ『無一文で困ってます』とは言ってなかったけどさ
ニュアンス的に経済的に困ってるんだと思ってた
…なんだ、そうだったのか
N「…ごめん、なんか嘘ついたみたいになってて…」
S「…嘘だったのか?」
N「嘘じゃないよ。
アパート建て替えになったのも、
仕事先が無くなったのも…嘘じゃない
そのまま引っ越せば良かったんだけど、
なんか精神的に追い詰められてて
1人になりたくなくて…だから…」
S「…そっか」
N「…怒ってる?」
S「怒んないよ、全然」
怒りなんか湧いてこない
むしろ、その状況でウチに来たなんて…
偶然って凄いな、と思うよ
たまたま雅紀達をウチに住まわせて
ちょうどその時ニノが困ってて
巡り廻って、俺がニノと出逢えた偶然
運命とか、奇跡とか
そんな乙女チックな事を言うつもりはないけど
この偶然の出逢いで、俺はコイツを好きになったんだ
男なのに…
そんなつもり無かったのに…
この偶然が嬉しいんだ
だからこそ大切にしたいと思った
今、こうしてニノの心に触れて
弱っているのなら
脆くなっているのなら
俺が力になりたい
強くそう思った