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旅は続くよ

第14章 好敵手

A「でも、ニノはまだ傷ついてんだよ?
癒えてもないのに勇気出せっての?」

S「そんな言い方してねーだろ」

A「言い方なんてどうでもいいよ」

S「俺はただ…、好きなヤツが傷ついてるなら、黙って見ていたくないんだよ」


翔ちゃんが真っ直ぐ俺を見た

その瞳には、真っ直ぐな強い意志を感じさせる光があった


S「暗い場所で蹲ってるなら、
陽の当たる場所に出してやりたい。
無理やりなつもりは無い。
立ち上がる勇気を持って貰いたいんだよ。
…お前は違うのか?」

A「俺は…」


俺はそうは考えた事なかった

ニノが泣けもしないでいるのを

眠れないのをずっと見てて

違う事を考えてた


A「俺は…、ニノに笑ってて欲しいだけだよ」

ニノの笑顔が好きなんだ

そのままのニノでいいよ


A「悲しくなったら抱きしめてあげる。
つらくなったら一緒に泣いてあげる…
そうやって見守って来たつもり。これからも…そうしてあげたいよ」

眠れないニノを温かい布団のように優しく包んであげたい

何もニノを傷つけないように

スッポリ包んで守ってやりたい


S「…そっか」

翔ちゃんが小さく笑って俺を見た

S「お前ら幼馴染だもんな。
羨ましいよ。お前らの長く過ごしてきた時間が…」

そんな事ない

幼馴染だからって

いい事ばかりじゃない


A「俺だって、翔ちゃんが羨ましいよ」

今まで培ってきた時間

それが邪魔して、違う角度で俺を見て貰うなんて

きっと難しいんだろうな…


A「新鮮味も無いしね。
今までの関係を壊したくないって思っちゃうんだ。
ニノも、…多分、俺も…」

S「…そんなモンかね」

A「…そんなモンだよ」

S「ははっ。無いものねだりだな、俺ら」

A「…だね。あ~あ!ニノは贅沢だね!
こんなイイ男2人もフッちゃってさ~」

S「ははっ!自分で言うか?」

A「自分で言わなきゃ誰も言ってくんないもん」

S「確かに」

A「…翔ちゃん。やっぱ諦めてよ」

S「バーカ。はいそうですか、なんて誰が言うかよ」



そうやって笑い合う俺らは

やっぱり仲の良い従兄弟同士?

それとも恋のライバル?

…どっちも正しいね


俺と翔ちゃん

ただ、ニノの事が好きなだけなんだ



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