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アスタリスク【ARS.O】

第5章 幸せな食卓

「泥棒のピッキングじゃないよ。物流倉庫で通販の注文の商品をセットしていく仕事よ。」

「何だ、びっくりした…。」

俺は胸をなでおろした。

「だから、働き者の手なんだね。」

潤がアキの手をぐいぐいと指圧した。

「気持ちいい…。」

アキの目がとろんとした。

「仕事で手が疲れたら、ここを押すといいよ。ツボがあるんだ。」

潤はアキの両手を丹念に指圧している。

「潤って、お母さんみたい…。」

アキはぽつりともらした。

「お母さんも、私が子供の頃こうやってクリームを塗ってくれた…。」

アキは、自分の身の上をぽつりぽつりと話し出した。

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