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アスタリスク【ARS.O】

第5章 幸せな食卓

アキは駅までの間、うっとりとストールと手袋を眺めていた。

潤の手袋はアキにはぶかぶかだった。

惚れたな。

鈍い俺でもさすがにわかった。

「これ電車賃。」

約束の電車賃として、二千円渡した。

アキは受けとると、財布から小銭を出した。

「おつり。」

本当にこういうところ、きっちりしてるな。

俺はおつりを素直に受け取った。

「今日は無理に誘って悪かったな。」

アキは左右に首を振った。

「ううん、おいしい夕食もハンドマッサージも嬉しかった…。」

アキを改札口まで見送った。

「アキは優しい母ちゃんに育てられたんだな…。」

アキは、ニコッと笑った。

アキが改札を抜けるのを見送って、俺はタクシーを拾って帰った。

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