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アスタリスク【ARS.O】

第6章 現実の生活

「アキ、ココア飲んでねぇのか?」

俺はマグカップに水をくんでアキに手渡した。

「ん…、もったいなくて…。」

アキは袋から薬を取り出し、水と一緒に飲んだ。

「ココアくらい、いつでも買ってやるから、好きなだけ飲めよ。」

「買ってもらう義理がない。」

アキは空のマグカップを俺に渡した。

「義理義理言うなよ!」

大声をあげた俺に、アキは驚いてビクッと体を震わせた。

「一宿一飯の恩義だけじゃねぇよ…。あの夜アキに拾われなきゃ、俺今ごろダメ人間になってた…。」

俺はマグカップにスポーツドリンクを注いで、アキに手渡した。

アキは、黙って受け取るとひとくち飲んだ。

「あの時、精神的にいっぱいいっぱいだった俺をアキは拾ってくれた。自分も腹減ってんのに、最後のあんパンを分けてくれた。」

俺はアキの髪をなでた。

「アキは俺の人生を救ってくれたんだ。あの時のあんパンの味は、一生忘れねぇ…。」

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