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アスタリスク【ARS.O】

第8章 オジサンの正体【アキ】

『俺が嵐だって黙ってたのは悪かった。でも、言えなかったんだよ…。』

オジサンの声は弱々しかった。

『俺のこと芸能人とかじゃなくて普通に接してくれるアキといるのが嬉しくて、楽しくて…。』

オジサンは泣いているのか、鼻をすすっている。

『一生懸命生きているアキのこと、いじらしくてほっとけなかったんだ…。』

「何よ、今さら。ずっと騙してたくせに…!」

私の耳には、もうオジサンの声は入って来なかった。

ドロドロとした怒りが腹の底からわいてきた。

オジサンの言うことはすべて言い訳だと思った。

「しかも、アンタ社長の息子らしいじゃん。芸能界うまくいかなくても、生活に困ることなんてないんでしょ!?」

もう八つ当たりだ。

「潤と二人で、私のこと笑ってたんでしょ!」

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