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☆ラリマーの扉☆

第17章 オレ様王子と感情薄き王女~ホルリside~

「…可愛がってほしいクセに」

男は私の頬をプニ、とおす。

「……っ」

ドキドキしちゃうな…。

「キッチンはここだ」

ドキドキ覚めぬまま
男はここだと教えてくれる…。

「…はい」

「そこで待ってろ」

男は食器入れにコップを取り出し、紅茶を作る…

「…なんて手際のいいお方なのでしょう」

捕らえられるべきなのかもしれない

破滅都市で死絶えるよりかは……

この男に愛されるのが
よい、と言うのがいいかもしれない。

「出来たぞ、お嬢さん」

トレイにはコップ二つ。

「…はい」

「行くぞ…」

男はホルリの手を握った。
それは逃がさないという意味をこめて……

「ちょっと…痛いです」

「痛いくらいにぎっておかねぇと…君は逃げちゃうだろう?」

…あぁ。
私を小鳥のように扱うのですね。

「…そんな極端なことを言わなくても。逃げませんわ」

「…逃げられるのは何よりも怖いぜ」

そう言い、男は部屋のドアを開けた。

逃げられるのがなによりも…怖いか。

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