☆ラリマーの扉☆
第9章 捨てられし王女は
「どうか、約束してくれないか?
使命を捨て、生まれ変わっても───…
君を忘れないって」
「わかった。約束する…」
───…少し悲しいけど、それなら納得できる。
「指切りゲンマンしよう」
「?」
クレディリスは聞いたことない言葉に
首を傾げる。
「わからないか、ならオレが」
「ゆびきりゲンマン♪
うそついたら針千本のーます♪指切った!」
なんだか…おそろしいわね。
「…不吉な歌に感じたけれど
私たち2人の約束だものね…」
…いくら怖くても約束は約束。
「あぁ…」
2人はコク…とうなずいた。
「じゃあなクレディリス
オレの姿は全然違っても驚くなよ~」
「わかったわ!」
ハルヤは破片のごとく砕け散った。
「ハルヤ…琥珀様、それでは」
さようならを言い、村を出た…
悲しくなりながらも
場所もわからぬまま…
街を見つけながら歩いてゆく
「アンディルス、貴方はいま、私を心配しているでしょう…?」
夜明けの空を見上げ、かつて愛した男の名を呼ぶ。
「でもごめんなさい
貴方を忘れさせてください。どうか…
私は、古代の男と愛を深めます…」
………ごめんなさい。
…………許してください。
風に揺られ、小粒の涙を流した…
「ありがとう、アンディルス」
そうつぶやき、走っていった。
あの街へ行こう……
「琥珀さんもありがとう…」
私はあの街で、ハルヤを待つ───…
生まれ変わって、姿が変わっても
私は忘れないわ…
ありがとうございました
よくしてくれて。
恩返しも出来ぬままに去ってしまって
ごめんなさい…
XX村のことは忘れない。
「捨てられし王女は」終