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☆ラリマーの扉☆

第9章 捨てられし王女は

目覚めたのは、夜明けの時

────冥府の空。

「行かなくちゃ…」

クレディリスは静かに起き上がって
寝ている琥珀を見つめた。

「……今までありがとうございました
琥珀様…」

気づかないように
琥珀の部屋を出ていった……

行く支度をし、屋敷を出ていく。

村人眠る朝の村
クレディリスは、涙を流した。

「ありがとう…XX村
別れが近づくにつれ、涙もろくなる」

なぜなのだろう?
好きが故に涙もろくなるの───…?

でもダメ、行かなくちゃ 今……

村の外に出ようとした時…

誰かの足音がした。

あの少年だ…

「もう行くのか?クレディリス」

「ええ…」

「そうか…またな」

少年は手を振った。

だが、クレディリスは手を振らなかった。

首を振った───…

「ハルヤとは行けないのかな、この門の先…」

…村の出口の門をさす、クレディリス。

「行けない」

「どうして?」

一緒に行けたらいいのに────…

「この村の魂だから。離れられない」

「離れてもいいじゃない。行こうよ」

私の相棒で居てほしい
ただそれだけなの─────…

「ダメだ、何があろうとも…」

「そんな…」

「一度は死んだ身、一度はよみがえった身…それでも、持つ使命は変わらない」

────…そんなこと言わないで

「使命なんて捨てようよ」

涙を流すクレディリス
使命に縛られないでよ────…

「…わかった。でもな、約束がある」

ハルヤは、クレディリスの小指を握る。

「約束?」

「一度転生させてくれたまえ…」

「転……生?」

「生まれ変わることだよ」

────…ハルヤが生まれ変わる。

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