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プリンス×プリンセス

第79章 写真と涙

「え?」

「動かないで」

振り向こうとするテリオスを制して、ファスナーに手をかける。

「あなたとディオの関係」

「姉上!?」

そのまま、ファスナーを下ろしていく。

「知ってるって…」

「誤魔化さなくていいのよ?」

テリオスがこちらを向こうとするから

「まだ途中」

そう言って、わざとゆっくりと手を動かした。

「……ごめん」

「謝らなくていいの。私だって…」

ディオを裏切っていた事になるから。

両手を伸ばし、テリオスを背後から抱き締める。

男の人にしては細くて華奢な体。

私に合わせて、無理をしている体。

私の半身。

愛おしくて、かけがえない存在。

「…でもね 、私…決めたの」

抱き締める腕を緩めて、顔を上げる。

「もう過去を振り返らない。前を向いて、未来を生きようって」

ゆっくりと、私を窺いながら、テリオスが振り向く。

「だから…お願いがあるの」

揺れる瞳に、微笑んで見えるように口角を上げて言った。

「あなたとは…ここでお別れしたい」

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