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プリンス×プリンセス

第80章 決別

廊下の先の、階段の前。

距離にしたら20メートルくらい。

声をかけるには遠すぎて、もう少し近付いてからにしようと足を早める。

ティアナ様との話は終わったんだろうか?

シルフィを同席させての話…

シルフィに、『ティアナ様を頼む』とか?

そんな今さらのお願いを、最後にするだろうか?

……テリオス様なら、あるかも。

いつでも一生懸命で、ティアナ様に対しての愛情も強いあの人なら…

毛足の長い絨毯のせいか、廊下を歩いても足音がしない。

会話が聞こえるほどに近付いて…

その会話の内容に、足を止めた。

「本当に…お別れなのですね」

声を詰まらせるシルフィに、テリオス様がこくんと頷いた。

それを見て、シルフィは顔を歪ませると

「どうか…お幸せに」

そう告げて…シルフィが泣き出した。

え!?

何でシルフィが?

驚いて目を丸くして…

咄嗟に、柱の影に身を潜めた。

ティアナ様付きの侍女だから、テリオス様との交流は他の侍女よりはあっただろう。

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