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プリンス×プリンセス

第81章 風が吹いた

旅行から1週間が過ぎて―――

「ねぇねぇ、シルフィはどう思う?」

同僚のアルトに話を振られ、キョトンと見返した。

「もう!聞いてなかったの?」

「ごめん。何の話?」

「旅行以来、ディオチェスター様が子煩悩になったって話」

飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになる。

むせて苦しむ私に、エミーナが背中をさすってくれた。

「そんな話が出てるの?」

「だって…ねぇ」

2人は顔を見合わすと

「前まではマキシミリオン様の様子を尋ねることもなかったのに」

「今は1日1度は必ず顔を見に行っているそうじゃない」

「うん…まぁ、そうね」

1日1回じゃない時もあるけど。

それは心の中に留めておこう。

「旅行中、何かあったの!?」

アルトの興味津々な顔に、にっこりと微笑む。

「知らないわ。知る訳ないじゃない」

知ってたとしても、言えるはずがない。

「でも、いい事よね」

私の呟きに、2人は笑顔で頷いた。

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