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プリンス×プリンセス

第81章 風が吹いた

朝のミーティングを兼ねた休憩時間が終わって、いつもの業務が始まる。

ティアナ様の部屋へ向かい、廊下を進んでいく。

陽が昇り、窓からの景色は段々と明るくなってきた。

確かにあの旅行以来、変わったことが多い。

そういう意味では、トグル王国へ行ったのは意味のある事で…

良かったのだと思う。

例え…あの方がいなくなってしまったとしても。

旅行の最終日。

ティアナ様の部屋で、髪を整えて差し上げた。

「髪を結うのも上手いけど、撫で付けるのも上手いな」

感心したようなテリオス様に、照れ隠しで頭を下げた。

もうこれで、この方のお手伝いをするのも最後かと思ったら…

一緒に部屋を出て、ディオチェスター様の部屋へ向かう間に、感情が溢れてしまい…

泣いた私を慰めてくれた。

ご自身だって不安で仕方ないはずなのに。

いつも人のために一生懸命で、お優しくて…本当に、本当に…

「幸せになって欲しい」

心からの願い。

どうか叶えられますように。

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