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プリンス×プリンセス

第83章 星空とレモネード

フェールロコノへ向かう飛行機が飛び立っていった。

行っちゃった…

姿が追えなくなるまで見送って、大きく息をつく。

意識的に笑顔を浮かべて、荷物を入れたキャリーバックを手にした。

テリオスの普段着と、私のインナー。

必要最小限の化粧品と、12歳の誕生日に母からもらったネックレス。

私の私物は、キャリーバッグに納めてしまえるくらい少なくて…

「ジュークの事、言えないかもね」

あの人も私物を持たない人だった。

だからこの前、家の中を案内された時、シンプルなのに生活感があって――

違う人の家みたいで、ドキドキした。

「さて、と。まずは宿を探さないと」

ひとつ息をついて、前を向く。

とりあえず宿を決めて、そこを拠点に仕事を探そう。

キャリーバッグを引いて歩きだす。

―――と

後ろから足音が近付いてきた。

振り向こうとした所で、キャリーバッグを掴まれてしまう!

「きゃっ!!」

転びかけて、よろめいてしまった。

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