テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第83章 星空とレモネード

な…何?

まさか、強盗!?

現金やテリオスのパスポートは、上着の内ポケットの中にある。

キャリーバッグの中身には金目のものはない。

でも、盗られる訳にはいかない!

慌てて手を伸ばし、キャリーバッグの取っ手を掴む!

すると

「何を考えているんだ!?」

強い口調で怒鳴られた!

え!?

荷物を奪い返そうとして怒鳴られるなんて!!

トグル王国はそんなに治安の悪い国だったかしら?

勇気を振り絞って、強盗を見る。

するとそこには――

「ジューク……」

走ってきたのか荒い息をつきながら、キャリーバッグに手をかけて私を引き留める、ジュークがいた。

「どうしてあなたが…」

もう2度と会わないって言ったのに。

呆然とする私を、ジュークは前髪をかき上げて睨む。

「何故帰らなかったのですか!?」

「……帰りたくないから」

前髪をかき上げた手を額に当てて、大きく溜め息をつかれた。

そんな…あきれないで欲しい。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ