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プリンス×プリンセス

第83章 星空とレモネード

「私の夢を聞いてくれる?」

ジュークを見つめれば、黙ったままバルコニーへ降りてきてくれた。

「私…あなたと生きていきたい」

住まいを決めて、仕事をして。

自立した人になれたら、あなたを支えられるかしら?

そんな自信が持てるようになれたら…

それが私の夢。

将来の希望。

前を向いて生きていく…その、目標。

けれどジュークは…首を横に振った。

「俺は…あなたを引き込みたくない」

「引き込む…?」

どうして?

あなたとルーミーと3人で生きていけたら、環境や身分なんてどうでもいいのに。

私を見るジュークの顔は苦渋に満ちている。

「前に…例えましたね。あなたは清らかな方だ、と」

え?

「すき好んで、沼地の泥の中に入ることはない」

ジュークはそう言って、レモネードを口にすると大きく息を吐いた。

……覚えてる。

フェールロコノの厨房で、レモネードを作った時の話よね?

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