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プリンス×プリンセス

第83章 星空とレモネード

テリオスに作って…手伝ってくれたジュークにもお裾分けした。

その時の会話だわ。

「…私は答えたわ。沼地でも蓮の花は綺麗に咲くって」

この国に来て、睡蓮を見るたびに思った。

睡蓮と蓮は違う。

綺麗な湖の中の睡蓮と、沼の中の蓮――

「沼地でしか咲けない花もある」

ジュークの口元が、ぴくりと動いた。

「私もそう」

ここでなら、綺麗に花を咲かせられるかもしれない。

ニッコリと笑えば、ジュークの眉尻が下がった。

そんな顔をしないで。

「あなたの傍にいたい。もう…決めたことよ?」

星空の下で見上げたジュークの瞳は潤んでいる。

私の想い、届いた?

そっと手を伸ばせば、ジュークが1歩近付いて…

ふわりと優しく抱き締められた。

あったかい…

そのぬくもりが心地よくて。

ゆっくりとジュークの背に手を回し、胸に頬を押し付けた。

ジュークの心臓の音が聞こえて……

気付くと、涙がこぼれていた。

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