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プリンス×プリンセス

第84章 そして…

その笑顔のままカムリに話しかけるから、カムリがピシッと背筋を伸ばした。

「は、はい!お任せを!」

緊張してるのか、任命されて嬉しいのか。

少しだけ顔を赤らめたカムリに、父上が咳払いをした。

「…マキシミリオン」

え?僕ですか!?

何か怒られるようなことをしたのかな?

名前を呼ばれた意図が分からなくて、おそるおそる父上を見上げる。

すると父上が僕の頭に手をのせた。

「退屈なら湖へ行ってもいいぞ」

湖?

「今なら睡蓮が見頃だろう」

睡蓮。

もしかして、昔――記憶にはないけど――旅行した時に見た睡蓮かな?

母上を見れば、僕を見てにっこり微笑んでいる。

きっとそうだ。

見知らぬ招待客の相手をするより、そっちの方が楽しいだろう。

「はい。行ってきます!」

自然と笑顔になり、弾んだ声で答えたら、父上は苦笑してシルフィを見た。

「その頃には喉も渇くだろう」

シルフィは目を見開いた。

「ディオチェスター様…」


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