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プリンス×プリンセス

第84章 そして…

母上がそう呟いて、頬を緩めた。

そんな母上に

「きっと家族で見ているのだろうな」

父上がそう言って、片頬を上げて笑う。

家族か。

あの子の両親はどんな人なんだろう?

他人の結婚を祝える心の持ち主なら、きっと仲の良い親なんだろう。

そうだといいな。

壇上に目を向ければ、グレイス王女が楽しそうに笑顔を浮かべている。

普段クールな彼女の笑顔が、何だか眩しかった。

腕に巻かれた花も、これ以降、結婚式のトレンドになるくらい注目されたらしい。

でもその時の僕は――

「結婚って、いいものだね」

自分の感情を素直に言葉にしたら、目を見合わせた両親に大笑いされてしまった。

「何でそんなに笑うんですか!?」

笑われて恥ずかしくて。

顔を赤くしながら抗議の声を上げて――

母上はとりなすように頭を撫でてくれて。

父上はそんな僕たちを笑いを浮かべて見ている。

僕は幸せだな。

心からそう思えた。




《終わり》

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