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プリンス×プリンセス

第84章 そして…

ユーノスさんも右手に同じものを巻いている。

並んでいるから、まるで2人の手を繋いでいるかのようで…

白とピンクの素朴な花なのに、花冠の存在は妙に目立っていた。

「きっと喜んでいるでしょうね」

まるで自分の事のように嬉しそうな母上に大きく頷く。

「うん、そうだね」

渡せて良かった。

こんなハッピーな出来事になるのなら、あの時躊躇なんかしないで、すぐに頷けば良かった。

上機嫌で目の前の皿の中身を頬張ると、母上が少しだけ声を潜めて言った。

「渡せたよ、って言いに行く?」

え?

あの子に?

内緒話をする素振りなのに、母上の目には僕を試すような色が浮かんでいる。

迷いを浮かべる目に笑いかけると、ゆっくり首を横に振った。

「必要ないよ。多分、テレビで見てるだろうから」

そう言って、カメラを指差す。

さすがに王女の――それも次期女王の結婚式なんだから、メディアが黙っているはずがない。

「あぁ…中継されているのよね?」

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