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プリンス×プリンセス

第2章 姉上の婚約者

「弟、か。先程の席には居なかったな」

「すみません。今日は出掛けてまして」

あーあ。俺の印象、悪くなったな。

姉の婚約者が挨拶に来てるのに出掛けてるって…会う気ないよって言ってるようなもんじゃん。

「これほど手入れをしているんだ。余程庭仕事が性に合っているのだろうな」

「そう…ですね」

何だろう。今の言い方。

言葉の裏に意味が隠されてるような…。

言葉に詰まった俺に、王子はフッと笑うと

「お前はなかなか勘がいい」

そして、庭を見て歩き出した。

俺はその後ろ姿を呆然として見つめた。

……は!?何だと!?

柔らかな物腰と、品のいい話し方で騙されるところだった。

俺の事を、王子失格だって言ってるんだ。

王子としての仕事より、薔薇の手入ればかりしてるんじゃないのか…って言いたいのかよ!?

こいつ…!!

とんでもない性悪じゃないのか!?

姉上…こいつの元に嫁いで、大丈夫なんだろうか。

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