テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第15章 一曲、いかがですか?

フェールロコノの国王の兄弟やらが祝辞を述べているなか、俺は会場から抜け出した。

テラスからベランダに抜けて、誰もいないのを確認すると、大きく息をついた。

こういうパーティの席が昔から嫌いだった。

だけど、今日は特に居づらい。

「帰ってこい、か」

ポツリと呟いて…

自分でも何でこんなに気分が沈むのか、不思議で仕方ない。

自分の国が好きで大切なのは変わらないのに…。

手すりに肘をついて、何の気なしに庭を眺めて考えに耽っていると

「ご気分が優れませんか?」

背後から急に話しかけられた。

驚いてその方向を見れば…

「ジューク!?」

見知った顔が目に飛び込んできた。

「お前…休みじゃなかったのかよ!?」

俺の驚きに、ジュークは苦笑いを浮かべ

「全くあなた方は…私を見るとその言葉しか浮かばないのですか?」

「いや…だって…」

こういう場に出にくいんじゃなかったのかよ!?

平然としているジュークに戸惑ってしまう。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ