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プリンス×プリンセス

第15章 一曲、いかがですか?

影武者…

思わず眉根の皺を深くすると、

「貴方は私の考え以上の働きをしてくれる」

ジュークは話しながら、俺を支える腕に力を入れた。

自然に、ジュークとの距離が近くなる。

「おい!!」

「ですから…帰国されては困ります」

ジュークの一言に、足が止まった。

ステップを踏めないまま、ジュークと睨み合う。

「聞いていたのか!?」

「いえ。聞こえたのですよ?」

しらっと言うなよ!!

同じことじゃないか!!

「貴方がいなくなると、淋しい思いをされるのではありませんか?」

姉上の話…だよな?

それにしては、妙に含みのある言い方じゃないか!?

「あの、さ…」

ジュークは俺から手を放すと、片手を胸に当てて一礼し

「どうか、今一度お考え直し下さい」

そう告げて立ち去っていった。

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