テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第20章 忘れられない感触

俺をじっと見つめるから、姉上の瞳に俺が映ってるのが見えた。

自分が思ってるより、上手く笑えてない。

そんな俺を、姉上は見つめたまま

「とりあえず…顔を拭いたら?」

あ…。

「姉上が拭かせてくれなかったんじゃないか」

笑いながらタオルを顔に押し付けた。

顎から垂れた滴が衿元に広がり、胸を冷たく濡らす。

…着替えた方がいいかな。

ボタンに指をかけると

「じゃあ、何かして欲しいこと、ない?」

突然聞かれて、ボタンを外す手を止めた。

「え…と」

急に言われてもな…。

特に思い付かなくて、笑みを浮かべて姉上を見ると

「食べたいものとか…何か私に出来ること」

やけに真摯な瞳を向けられて、俺は笑みを引っ込めた。

姉上…?

「じゃあ…何か飲むものを」

「どんなものがいい?」

姉上の勢いに圧されそうになりながら答えた。

「さっぱりしてて飲みやすいもの」

その言葉に、姉上はにっこり微笑んで言った。

「分かった。待ってて」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ