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プリンス×プリンセス

第21章 底無し沼

「では、こちらへ」

手を向けて進行を促すと、ティアナ様はキョトンと俺を見返した。

「飲み物はこちらにございます」

そう告げると、ティアナ様は顔を赤らめた。

「あ…そうなのね。私、何も知らなくて…」

両手で頬を覆って、赤くなった顔を隠す姿が可愛らしくて

「普段入らない場所ですから」

そう言いながらも頬が緩んでしまった。

厨房の外れのカウンターの前へ案内する。

「何になさいますか?大体のものは揃っていますが」

コーヒー、紅茶は数種類銘柄を揃えてある。

あとはハーブティーや、フルーツジュースなど。

テリオス様がどんな飲み物を欲しがっているのか知らないが、ここにあるものでどうにかなるだろうか?

すると、ティアナ様はミルクパンを手に取った。

「では、お砂糖と水を」

「はい」

返事をしたものの、何をするつもりなのか見当がつかない。

言われた二つを用意していると、ふわりと柑橘系の爽やかな香りが漂ってきた。

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