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プリンス×プリンセス

第22章 そういう事、ですか

ノックをして部屋に入ると、部屋の主がちらりと俺を見て、すぐに視線を戻した。

「遅かったな」

書類を見たまま、ぼそりと呟かれたその声は、思った以上に淡々としていた。

予定時間を大幅に過ぎている。

もう少し何か言われるかと思っていたのに、肩透かしを食ったような気分だ。

「すみません。ティアナ様のお手伝いをしておりまして」

一応遅れた理由を伝えてみるが、主の目線は書面を追ったままだ。

「お前が?」

「はい。厨房を通りかかりましたら、ティアナ様がいらっしゃいまして」

「ほぉ…何故そんな場所に?」

ディオチェスター様の言わんとすることは分かる。

ティアナ様が料理をする必要など何もない。

だから、厨房に出入りもする必要もないのだ。

「テリオス様が体調を崩されまして…」

言いかけた途端、

え?

自分の目を疑う。

書類を捲るディオチェスター様の指が、止まった…?

「…それで?」

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