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プリンス×プリンセス

第25章 労りの気持ち

暫くしたら姉上の呼吸も落ち着いてきた。

「何か飲むか?」

「お水でもいかがですか?」

ジュークが備え付けの小型冷蔵庫から取り出そうとした。

「いえ、大丈夫ですから」

姉上がやんわりと制止すると、ディオが口を開いた。

「何処かで少し休むか?」

こいつがこんな労りの言葉をかけるなんて…

意外すぎて、姉上の背をさする手が止まってしまう。

「本当に大丈夫ですから」

「…無理はするなよ」

「はい。分かっています」

姉上は頷くと、顔を覗き込んだ俺ににっこりと微笑んだ。

もう平気、って事か。

姉上から少し離れると、シートに深く腰掛けた。

ディオが、姉上を気遣ってくれている。

夫婦なんだから、当たり前なのかもしれない。

姉上の奥で、窓ガラス越しに風景を眺めている、ディオの横顔を見た。

ティアナを愛する努力をする、って、前に俺に宣言したよな?

それが『努力』の結果なら、俺は…

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