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プリンス×プリンセス

第25章 労りの気持ち

「貴女があまりに可愛かったので、つい」

そんな言葉を吐きながら、目を細くして笑うジュークに、姉上は目を丸くしている。

「なっ…!!」

姉上は何かを言いかけて…でも言葉を紡げなくて、口元を震わせた。

次の瞬間。

それこそ、音が聞こえそうなほどの早さで、姉上の顔が赤く染まった。

へ!?

姉上、どうしたんだ!?

俺も姉上の変容に首を傾げてしまう。

すると、姉上は口元を押さえてうつむいて…

「姉上?」

聞くのと同時くらいに、姉上は身をすくませるようにして咳き込み出した。

「姉上!?」

「ティアナ様!?」

俺とジュークが呼び掛ける中、姉上は片手で制止して

「大丈夫…すぐ、おさまる、から…」

むせながら、切れ切れに答えた。

「姉上…」

姉上の背中をさすりながら表情を窺えば、耳まで赤く染めて咳き込んでいて…

やっぱり無理してるのかな。

最初から俺が姉上の扮装をして、姉上を城に置いてくれば良かったのかも…

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