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プリンス×プリンセス

第26章 謝肉祭

国のために、国民のために行動するのは、王子としての役目だと言うのは分かるよ。

だけど…

愛しい人が辛い想いを抱えているなら、救ってあげたい。

それこそ、場合によっては公務を棄てても…だ。

「何をしている?早く来い」

振り返って怪訝な表情を浮かべるディオに、無理矢理笑顔を作る。

「分かってるよ」

テラスに向かい、ディオの横に立った。

お前には、そういう思い…無いんだろうな。

パレードを見る横顔をちらりと窺うと、いつもとは違う余所行きの微笑みを浮かべていた。

本当にお前は、理想的な王子様だよ。

俺には真似できないし、する気もないけどな。

口元を半月状に曲げて、にんまりと笑う。

だったら、俺は俺なりのやり方で示させてもらう。

俺なりの『王子』ってもんを、さ。

テラスの縁に寄り、そこから眼下に広がる景色を楽しむ。

パレードの衣装やフロートで、街並みはさっきよりも極彩色に溢れていた。

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