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プリンス×プリンセス

第26章 謝肉祭

何だ!?

驚いて周りを見回せば、軽快な音楽が聞こえてきた。

それと共に群衆が1つの方向を見て…

「始まったな」

ディオがつまらなそうに呟くと、スピーカーから流れる音楽が一段と大きくなり、歓声も大きくなった。

パレードが始まったのか…?

「テラス側に行くか?その方がよく見えるみたいだぞ」

ディオが立ち上がって俺を誘う。

けれど、さっきまでの話の決着を付けたくて仕方ない俺は、ディオを睨み付けた。

「それ所じゃない!!」

するとディオは片目を細めると

「お前は何のためにここにいる?」

やけに冷めた威圧的な口調に、俺は目を見開いた。

「親善のために謝肉祭に招待されたのだ。公務である以上、参加しろ」

「王子らしく…か?」

いつも俺に言ってくるよな?

王子らしく振る舞えって。

「…そうだな」

ディオは口元を歪めて笑うと、テラスに歩み寄っていく。

その背中に、心の中で問いかけた。

お前の言う王子って、幸せなのか?

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