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プリンス×プリンセス

第28章 晩餐会で…

誰かの呼ぶ声がした…

ぼんやりとした意識の中で、誰の声だったのかを思い出そうとする。

だけど、その声がどんな声だったのかさえ思い出せなくなる。

寝返りを打とうとして、そこでようやく違和感に気付いた。

いつものベッドと違う。

ハッとして起き上がると、一瞬目眩に似た症状に襲われて…

「…っ!」

ベッドに手を付いて体を支えると、シルフィの声がした。

「ティアナ様!?」

声のした方を向けば、シルフィが走り寄ってきた。

「どうされました?ご気分でも!?」

「いえ…大丈夫よ」

ゆっくりと頭を振り、ゆるく笑みを浮かべると

「急に起き上がったからかしら?もう平気よ」

「…そうですか?」

シルフィは心配そうに私を覗き込んだ。

「決してご無理なさらないで下さいね」

「…ありがとう、シルフィ」

心から心配してくれているのが分かるから…本当に有り難い。

息をひとつ付いて、ベッドから降りようとして、窓からの景色が変わっているのに初めて気付いた。

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