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プリンス×プリンセス

第29章 男で構わない

ホテルのディオの部屋に着いて。

従者は廊下で待機させて、部屋の中にはディオとジュークと俺だけになった。

「はぁ~……やっと着いた!」

やっと姉上の代役から解放されて、大きく息を吐いてソファーに座り込んだ俺に、ジュークが眉を下げた。

「お疲れ様でした」

その労いの言葉のすぐ後に

「ご苦労だった」

ディオが言葉をかけてきた。

だけどあまりにも素っ気ない口調で…

…あのなぁ!!お前、心から思ってないだろ!?

思わず顔をしかめてディオを見た。

そもそも、誰のせいで苦労したと思ってるんだ!?

こいつのせいで、皆の前でダンスまで踊らなきゃいけなくなって!!

一曲踊った後、「次は私と」という誘いを断りながら、逃げるようにあの場を立ち去った。

疲れはてた俺とは逆に、車の中ではディオが上機嫌で…

それも、俺の気分を害してる一因だ。

それと…

パンプスを脱ぎ捨てて、足の指を揉みほぐしていると、ジュークがそれに気付いたようだ。

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