テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第29章 男で構わない

俺の刺々しい視線を薄笑いで受け止めると、ディオは再びお湯をすくい、俺にかけてきた。

「だから!!」

お前は何がしたいんだよ!?

そう言おうと口を開きかけた時

「美しいな」

ぼそりと呟かれた言葉に、何もかもが頭の中からすっぽ抜けた。

「…は?」

かろうじて口から洩れたのは…たった一言。

色々聞きたいし、言いたい。

聞き間違いじゃないか?

気色悪いこと言ってんじゃねぇよ!!

だけど…それだけ。

戸惑ったままディオを見れば、目を細めて

「薔薇をまとったお前は美しい」

聞き間違いじゃなかったんだ。

美しい…って、俺が!?

自覚して…急に体が熱くなる。

「ば…馬鹿か!?お前!」

濡れた顔を拭って、頬杖をついてディオの視線から顔を隠した。

「そういうのは女に言う言葉だろ!?」

男がそんな事言われて喜ぶかよ!?

そう思うのに…

頬杖をついて、なるべくディオの方を向かないようにして、不機嫌そうな表情を浮かべた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ