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プリンス×プリンセス

第30章 私じゃない

あれから、フェールロコノに戻ってきた。

今回の外交の成果は上々だったとディオから聞いて…

こちらでの新聞記事や、テレビでの報道でも、好意的なものが多かった。

それが本当に嬉しくて、ホッとしたのは事実。

だけど…

雑誌の特集記事を見ていた私に、シルフィが声をかけてきた。

「この前の謝肉祭の記事ですか?」

「ええ。テリオスがよく写っているわ」

シルフィにも見えるように雑誌を広げる。

謝肉祭で、地元の女の子と踊っている所や、パレードに両手を振って声援を送っている姿が写っていた。

「楽しそうですね」

「本当。見ているとこっちまで笑顔になれそうな位」

くすりと笑うと、ページをめくる。

次のページには、晩餐会での姿。

片膝をついたディオが、『私』の手を取って話している。

あと、『私』とダンスを踊っている姿。

「すごいですね。写真だけ見たら私も騙されそうです」

賞賛するシルフィに、笑みを浮かべる事しか出来ない。

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