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プリンス×プリンセス

第30章 私じゃない

「ダンスもとても上手で、皆が見惚れた、って書いてありますね」

「その様ね」

「見てみたかったです」

無邪気なシルフィの言葉に

「そうね」

小さく答えると、急いで次のページをめくった。

そこには翌日の様子が取り上げられていた。

次の日、ジュークの手筈で、他の従者に見つかることなくディオの部屋に潜り込めた。

そこでテリオスと入れ替わって、何事もなく朝食を摂って…

フェールロコノに帰国する前に、一番大きなマーケットを視察した時のものだ。

シルフィがその時の事を思い出したのか、クスクスと笑いだした。

「テリオス様といえば…ここでもディオチェスター様と衝突されてましたね」

「そうだったわね」

あれは、マーケットの中を案内してもらっていた時。

「姉上が昨日飲んでいたワインってどれなのかな?」

テリオスがお酒を扱っている店舗の前で質問してきた。

「え…っと、確か…」

銘柄をあげると、案内役として付いてきた外交官が店主に声をかけた。

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