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プリンス×プリンセス

第34章 サーバル国へ

柔らかな風が木漏れ日を揺らしている。

花の甘い香りと、草木の瑞々しい匂い。

そよぐ風も気持ちがいい。

「いい場所だな」

腕を伸ばして体を伸ばすと、深く息を吸い込んだ。

パーティー会場よりも、こっちの方がずっと癒される。

出来ることならパーティーが終わるまでずっとここにいたいよな…なんて。

自分の甘い考えに、苦笑いが浮かぶ。

それこそ、『何のために来たと思っている』んだ?

さっき、兄上に言われた言葉だ。

なのに頭に浮かぶのは、プラチナ・ブロンドを揺らすアイツの顔で…

『お前は何のためにここにいる?』

謝肉祭の時に言われた言葉と同じ意味に聞こえる。

ここにいる理由は…

「テリオス様…?」

背後から名前を呼ばれて、驚いて振り向く。

「え…?」

そこには、薄浅葱色のドレスに、白のボレロを羽織ったシエンタ王女がいた。


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